tetoru×大和田中学校
トークセッションセミナーレポート

教育DXは「やめること」から始まる。〜『教育DXロードマップ』を捉え、教職員が子どもと向き合える環境を創出する実践事例〜

2025年8月6日(水)にtetoru主催オンラインセミナー「教育DXロードマップ『12のやめること』から考える、教職員が児童生徒と向き合える環境の実現方法」を開催しました。

登壇者
八千代市立大和田中学校
高橋 教頭先生

本セミナーでは、今年6月に改訂されたばかりの『教育DXロードマップ』に焦点を当て、「なぜ、今学校現場のデジタル化が求められるのか」、そして「何を、どのようにやめるべきか」について深掘り。実際にtetoruを活用し、教職員の働き方改革を実現している八千代市立大和田中学校・高橋教頭先生にご登壇いただき、具体的な実践事例を交えてお話しいただきました。

教育DXロードマップの目指す未来

セミナー資料抜粋

セミナーの冒頭では、改訂された『教育DXロードマップ(※)』の概要と、その中心にある「12のやめることリスト」について解説しました。このロードマップが目指すのは、「誰もが、いつでも、自分らしく学べる社会」の実現です。学習者、保護者、教職員、そして行政にとっての将来像が描かれていますが、その実現の大前提として「教職員の負担軽減」が強調されています。

しかし、デジタル庁の調査によると、お便り配信を半分以上デジタル化できている自治体はまだ半数に満たず、tetoruの調査でも現金徴収が依然として約4割の学校で行われているのが現状です。その背景には、「検討する時間がない」「何から手をつけていいか分からない」といった切実な課題が横たわっています。

本セミナーでは、この課題を乗り越え、『12のやめることリスト』の中でも特に負担の大きい「⑪学校徴収金の現金徴収」をデジタル化した、大和田中学校様の事例をご紹介しました。

※教育DXロードマップ - 令和7(2025)年6月13日

集金業務を4分の1に削減。大規模校が挑んだ集金業務DX

セミナー資料抜粋

千葉県八千代市に位置する大和田中学校は、生徒数900名の大規模校です。tetoru導入前は、現金による集金業務が教職員に大きな負担をかけていました。

高橋教頭先生は、導入前の課題について以下のように語ります。

  • 膨大な業務負荷 900名分の現金集金は、教職員のダブルチェックや銀行への持ち込みなど、1回あたり4〜5時間を要していました。集金日には生徒とのコミュニケーションや授業準備の時間が削られていました。
  • 生徒の安全リスク: 生徒が多額の現金を持ち歩くことで、SNSを通じたトラブルなどに巻き込まれる危険性を感じていました。
  • 保護者の負担: キャッシュレス時代において、保護者が集金のためにわざわざATMで現金を下ろす手間や手数料が負担となっていました。

これらの課題を解決するため、大和田中学校は教育委員会の一括導入を待たず、学校単独での集金機能導入を決断しました。その結果、学級担任の集金業務はわずか10分にまで削減されました。

保護者と教職員が共に歩む「段階的な導入」が成功の鍵

セミナー資料抜粋

導入に際して、高橋教頭先生が最も工夫されたのは、保護者と教職員の理解を得るためのプロセスでした。

  • PTA本部との協働: まずPTA本部に導入相談を行い、「子どもの安全」と「保護者の利便性」を訴え、共感と協力を得ました。
  • 「選べる」移行期間導入後も「希望される方には従来通りの手集金にも対応します」と選択肢を残しました。これにより、全員の同意を待つことなくデジタル化を進めることができ、保護者の心理的なハードルも下がりました。

この丁寧なアプローチの結果、任意にもかかわらず導入からわずか2ヶ月で、全校生徒の約8割がtetoruの集金機能を利用するようになりました。

DXが創出した「子どもと向き合う時間」

セミナー資料抜粋

集金業務のデジタル化は、学校に劇的な変化をもたらしました。

  • 業務時間の大幅削減: 1回4〜5時間かかっていた業務が、手集金分の入金作業を含めても1〜2時間で完了。学級担任に至ってはわずか10分にまで削減されました。
  • 生徒とのコミュニケーションの確保: 集金日には返信を書く時間がなかった「やりとり帳」に、普段通り目を通し、生徒一人ひとりと向き合う時間が確保できるようになりました。
  • 授業準備の時間: 集金業務に追われていた学年主任も、午前中から授業準備に取り掛かれるようになり、教育の質の向上に繋がりました。

高橋教頭先生は「DXは手段であり、目的ではない」と語り、教員の日直の廃止や朝練の廃止、登校時間の後ろ倒しなど、これまで「当たり前」とされてきたことも「変えられないのか?」「やめられないのか?」と考えて、デジタル化にこだわらない多様な働き方改革にも取り組んでいることを紹介くださいました。また、教職員一人一人の声に耳を傾け、よりモチベーション高く業務に取り組めるよう「チームで協働する」文化を育むなど、働き方改革だけではなく「働きがい改革」にも取り組まれています。

参加者からの質問にお答えします

セミナーでは、事前に寄せられた多くの質問にもお答えしました。その中から、特に反響の大きかった質問と回答をご紹介します。

Q1. 学校業務のデジタル化はどこから始めればよい?

A: 「何をやるべきか」については、教職員が困っていること/変えたいと思っていることを遠慮なく意見出ししてもらうことで自分自身の気づきも多かったです。そのうえで、「今すぐ着手できること」「今年度末までであればできそうなこと」「来年度以降でなければできなさそうなこと」の3つに分けて、まずは「今すぐ着手できること」から取り組んでいきました。小さな一歩かもしれませんが、積み重ねが大事だと思っています。」

Q2. 集金のデジタル化、保護者負担の手数料が高くなることへの理解は?

A: 現状の集金方法でも、保護者の方は現金を用意するためにATM手数料を支払ってお金を下ろしたり、生活口座から引き落とし用の口座へ送金手数料を支払ってお金を移しているケースが少なくありません。これらの手数料は年々上昇しており、年間で考えると、デジタル化によってかえって保護者の費用負担が軽減される場合も多いでしょう。また、「教職員の負担軽減のためになぜ保護者が費用負担するのか」とも捉えられがちなので、「負担軽減された分、子どもたちのための○○に取り組みます」という、「お子さんに還元される取り組み」であることを丁寧に伝えることで、理解は得やすくなるかと思います。

Q3. 職員のデジタル化への抵抗感はどうすれば?

A: 全体で一気にデジタル化へ移行することが難しい場合、まずは少数でもいいので「デジタル化に前向きな先生」を巻き込み、小さな成功事例を作っていくのがいいかと思います。本校でも採点システムを入れた際に、まずはデジタル分野が得意な先生が使ってみてくれて、実際に採点が早く終わるようになったのを目の当たりにした他の先生方が「使い方を教えてほしい」と言って徐々に浸透していきました。

セミナーの全編を動画で公開中

本セミナーの全編は、以下のページでアーカイブ動画として公開しております。記事に載せきれなかった他校の事例や、詳しいエピソードもありますので、ぜひご覧ください。

 

 

大和田中学校の事例が示すように、教育DXの実現に向けた取り組み方法は、身近なところにも、意外なところにも、様々存在しています。目の前の小さな課題からデジタルで解決できることを見つける一歩が、子どもたちの未来、そして先生方の働き方を変える大きな一歩になります。

tetoruは、これからも学校現場の声に耳を傾け、子どもたちと教職員がもっと向き合える環境づくりを支援してまいります。

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